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【Daytona×SAMURAI JEANS×KG Motors】
令和にモトコンポで遊ぶオトコたち

Photo&TextKazuma NOMOTO(Daytona)

2022.06.22

レストア、エンジンスワップ、EV換装。33様のモトコンポ

 

思い返せば、あれは令和元年(2019)秋のこと。レーシングドライバー、塚越広大選手(コウダイ君)を誘い、阿蘇の名所を回るモトコンポ・ツーリングを敢行。そのツーリングでサムライジーンズの野上シャチョーは悟っていた。モトコンポの非力さを……。そこで新たなカスタムベースとなるモトコンポを確保した上で、エンジン載せ替えに踏み切った。

 

時を同じくして、コウダイ君とシャチョーからモトコンポ遊びに引き込まれたレーシングドライバーの小暮卓史選手(コグレさん)。レストア用の車体と各部の新品パーツを手に入れたコグレさんは、ノーマルにこだわり、新車同様にレストアしつつも、高出力仕様へのエンジンチューニングを目指すことにした。

 

さらに時を同じくして、シャチョーは「もう1台、ありまっせ!」とモトコンポを見つけてくる。しかも、その1台はデイトナ編集部に預けるという。だったら、他には負けないモトコンポを作ってやろうと考え出したプランがEV化。その作業に適任だったのが「KG(くっすんガレージ)」である。モノづくり系ユーチューバーとして、クルマやバイクのカスタム動画で10万人を超えるチャンネル登録者数を誇るKG。早くからEVネタに取り組んでいた彼らであれば、きっと魅力的なEVモトコンポを作ってくれるはず。

 

そうして作業が進んだ33様のモトコンポカスタム。その後、約1年の時間を費して完成した3台は現役プロライダーによる試乗でその性能が明らかになった。

サムライGT Nプロジェクト顛末記
写真左/デイトナ344号掲載  写真右/デイトナ348号掲載

プロライダー、國川浩道選手によるインプレッションはいかに!?

 

 まずはコグレさんのレストア・モトコンポ。オーナーであるコグレさんに届ける前に行われた試乗会。仕事の都合で、レストアを手掛けたメカニックも参加できない中、主なカスタムポイントはチャンバー装着のみ、という言伝を聞いてコースへと飛び出した、國川選手(クニちゃん)。その軽快な走りに「さすが、プロだ。モトコンポでも速い!」「んっ、モトコンポなのに速くない!?」とギャラリーはザワザワ。

 

 戻ってきたクニちゃんは興奮気味に語る「ホントにノーマル!? エンジンが凄い回るし、めっちゃ速いですよ!」。レストアに際してエンジンをすべてバラし、シリンダー内部まで磨き上げたという1台。現代の交通事情のなかを流れに沿って走るには非力な当時モノのモトコンポだが、その性能は一変。純正メーターの50km/hメモリを軽く振り切るスピードを叩き出すのだった。

ただし、クニちゃん曰く「エンジンの性能に対してフレームが虚弱過ぎて耐えられない」。エンジンの性能をフルに発揮するならレストアだけでなくフレーム補強が必要とのことだが、それはオーナーのコグレさんの判断次第ということに。

 

続いてシャチョーの、「ジョルカブ」エンジン載せ替え仕様。同じ原付だけにパワーに大差はないものの、4速ミッション付でより軽快な走りを目指したカスタム。コースへと走り出したクニちゃんは、そのコンセプトどおりに流れるようなライディングでコーナーを抜けていく。ストレートスピードはそれほどでもないものの、載せ替えにあわせてロングホイールベース化された車体は見るからに乗りやすそうだった。

 

試乗を終えたクニちゃんが「うん、うん」と満足げに頷くとおり、安定性は抜群。プロライダーのライディングにもしっかりと耐えられる車体はFブレーキもディスク化し、「モンキー」のスイングアームを流用し、リアサスはNSR用……と他車パーツが盛りだくさん。モトコンポのウィークポイントである虚弱な車体を改善したことでカスタムは大成功といえる。でも、車体の安定性が限りなく進化した結果、目玉だったはずのジョルカブエンジンの非力さが逆に気になってしまったというのがクニちゃんの感想。なんとも皮肉な話だが原付レベルを越えた車体に、原付エンジンではもはや物足りない。

そして、最後に試乗するのはKG(くっすんガレージ)によるEVコンバートモデル、其の名も「E-モトコンポ」。驚くべきは搭載するモーターが発生するトルクは、カタログ上数値では排気量600ccのホンダCBR600に匹敵するという。となれば、かなりの爆速ぶりが期待できるが、そんなバイク、トップライダーでないと扱えないのでは? ギャラリー全員が固唾を飲んで見守るなか、クニちゃんは慎重にスタートしていった。

 

E-モトコンポに組み込まれたのは、スイングアームとモーターが一体になったEV換装用キット。アッセンブリー交換でEV換装が出来れば、より身近なカスタムとして定着しやすくなるという狙いのもと、KGが海外メーカーに特別オーダーしたもの。しかし、EV換装に際し一番重要で、一番難しいのがモーターの出力特性や回生ブレーキの設定などEVのすべてを司るコントローラーの設定。その設定の重要性がクニちゃんの試乗で露呈。コーナーで減速し、再び加速へとアクセルを開けるタイミングとモーターの出力がリニアに反応しない様子。そして事件は、出力モードを3段階のMAXに設定し、最高速チャレンジに挑もうとした周回で起きた。

やはりコーナーでの出力が落ち、今回は一旦停車。再び走り出そうとアクセルを握った瞬間、急加速したウィリー。クニちゃんの手を離れて暴走したのである。

 

 足を着いていたクニちゃんの股下から暴走したE-モトコンポはリア部分を路面ですり減らしたものの、アクセルを離したことで大事には至らず。そのままピットに戻ったクニちゃんは「すいません、“アクセル開度に気をつけて”って注意されてたのに…」と恐縮しきり。そして感想としては、ストレートの加速などEVバイクとしての想像以上にオモシロイとのこと。ただ、アクセルを開けたいライダーの意志とモーターの出力のリンクがイマイチ不十分。それが解消できれば、もっと楽しくなるはずだという。

次なるモトコンポ遊びの舞台はどこか!?

 

クニちゃんの試乗によって、レストア、エンジン載せ替え、EV化と3通りのモトコンポカスタムの違いが明らかになったが、結論は「どれも面白い」。

 ノーマルにこだわるか、手を加えるか? エンジンか、EVか? どちらに優越もなく、好みの手法で愉しめばいいというのが参加した全員の一致した結論。ということで、この出来上がったモトコンポで“どうやって楽しむか!?”が次なるテーマ。モトコンポワンメイクレース!? 風光明媚な観光地でのツーリング!? モトコンポ遊びの首謀者であるサムライジーンズの野上シャチョーの野望は止まらない。

 

TOHO Racing 國川浩道選手

2022年シーズンは全日本ロードレース選手権ST1000クラスに参戦中。8月には2年ぶりに開催される「2022FIM世界耐久選手権“コカコーラ”鈴鹿8時間耐久ロードレース」にチームメイトの清成龍一選手、國峰啄磨選手とともに参戦予定。

前オーナーがレストア用に収集していた純正パーツを使ってレストアされたコグレさん号。ただ組み直すだけでなく、エンジンはすべてをバラして、シリンダー内部まで磨き上げたという1台にクニちゃんも絶賛。その後、実車に乗ったコグレさんは「速すぎてヤバいからフレーム補強しようかな」とつぶやいたという。製作/カスタマーオリエンテッドT.S

エンジンはホンダ・ジョルカブの載せ替え。それ自体は定番メニューだが、Dio用のディスクブレーキを装着し、フロントフォークは上下逆さまに装着することで車高を低く抑えたフォルムに仕立てられている。12Vバッテリーへの換装やリアサスはNSR用など他車流用パーツを多用したカスタム満載の1台。製作/ARMS

コンバージョンキットによりEV化自体は簡単。ただ、バッテリーの搭載位置など元が小さなモトコンポの車体にどうEVシステムを収めるかが課題。さらにベース車両のフレームが予想以上に朽ちており、重量のあるモーターやバッテリー搭載のための大掛かりなフレーム修正が作業の大半を占める結果に。製作/KG(くっすんガレージ)

 

 

デイトナ354号の巻頭特集は『300万円で家(基地)を持つ!』

本記事はデイトナ354号(2021年5月号)の内容を再編集して掲載しております。

354号では以下のコンテンツも掲載。

【好評連載/世田谷ベース】世田谷ベース的空間創造術

【第2特集/HOBBY!】超精密飛行機模型“ミュージアムモデル”  など

お見逃しの方はバックナバーでお楽しみください。

 

KG】クニちゃんによるE-モトコンポ試乗の様子はコチラ

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