
シンプル無骨なヴィンテージSUV「インターナショナル・スカウト」が大集合
4月の半ば、まだそれほど暑くないカリフォルニアの砂漠。強い日差しと時折吹く突風が砂埃を巻き上げている。普段なら多くの旅行者が利用するキャンプ場も、この週末に限っては特定のメンバーで埋め尽くされる。
そのメンバーが集まる理由は「インターナショナル・ハーベスタ」。1902年創業のメーカーで、農業機械から大型トラックまで幅広く展開していた。1961年から1980年までは、オフロードSUVの先駆けとなる人気車種「SCOUT」を販売していた。そのクルマに魅せられた人々が年に一度集まり、情報交換をしながらBBQやトレイル走行、キャンプを楽しむイベント「SCOUT WEST」が開催される。

今年で28回目を迎えるこのイベントは、参加資格に制限はなく、スカウトやインターナショナルの車両でなくてもOK。スカウトに興味があればフォードでもシェビーでも問題ない。みんなで集まり、インターナショナルの車両をとことん楽しむ。ネットワークを作り、困難なパーツの入手方法や修理の仕方など、スカウトについて学ぶ場でもある。
参加者の多くはDIYで自分のクルマをメンテナンスやレストアするオーナーたち。イベント中に手を借りて修理もできる、まるでワークショップのような雰囲気だ。集まったクルマは現代車にはないローテクで、旧車ならではの温かみが感じられるものばかり。オーナーたちも優しくフレンドリーだ。まるでペットを保護するかのように、放置されていたインターナショナルを引き取り、走れるように復活させる。「このクルマは放置されていた車両をレスキューしてきたんだ!」と語るオーナーが多く、それが印象的だった。
メンバーのネットワークを使ったレスキューは再利用、つまりエコでもある。単なるカーミーティングではなく、小さな街のコミュニティのような強い団結力を感じるイベントだ。
見た目は1976年、中身は現代仕様!

約50 年前に父が購入したというこのスカウト。現オーナーのボブが40 年ほど前に譲り受けドライブしていたが、近年は22 年もの間、自宅のドライブウェイで眠っていた。
またスカウトに乗りたいとカスタムを決行。オリジナルのストック仕様じゃ現在の道路事情に適さないと考え、 ボディ以外電気系、エンジンやブレーキ、エアコン等全ての箇所がフルカスタマイズされている。アイオア州にあAnything Scout とというショップに依頼、約6ヶ月かけてこのスカウトが完成した。
トルクを重視しCummins社製のディーゼルエンジンをチョイス。スカウトにこのディーゼルエンジンをスワップするのは比較的ポピュラーなカスタムとの事。
ボディーペイントはあえてオールペンなどせずにオリジナルのままでバフをかけたのみ。22 年間自宅の同じ場所に放置されて居たため、左右で色の褪せ方が違って見えるが、これがまたカッコいい。
text&photo:Yas Tsuchiya







