
アメリカン・カスタムカーの祭典 STREET CAR NATIONALS 2026レポート
1986年に横浜・元町で開業し、今年で40周年を迎えたMOONEYES。STREET CAR NATIONALS(以下、SCN)は、そのMOONEYESが開業した翌年、1987年から開催している歴史あるアウトドア・カーイベントだ。開催のきっかけは、「いまの日本にどれだけのカスタムカーがいるのか集めて見てみたい」というもので、当初は“日本版POMONA S WAP MEET”をコンセプトにしていた。
それから39年。一度パンデミックによる開催中止を挟んだため今回が第38回目の開催となったが、これだけ長く続き、多くのカスタムカーが集まるイベントはSCNの他にない。
今年のSCNには1200台のカスタムカー、140件のスワップミートが集結。そして来場者は12000人を記録した。
SCNの醍醐味は何と言っても、広い会場でゆったりとカスタムカーを眺められること。しかもここに集うのは、イベント名にもあるような“STREET CAR”、つまり普段も街乗りしているような、身の丈に合ったカスタムカーばかり。
「自分もいつかこんなクルマに乗りたいな」と想像しながら、1200台ものクルマを眺めて歩くのは、クルマ好きにとってはたまらない時間であるはずだ。
そんなわけでココでは、Daytona目線でピックアップしたSCN出展車両をご紹介。このイベントならではのバラエティに富んだ車種の数々、そしてDaytonaアワードを贈った素晴らしい1台をご覧あれ。
(text&photo 鈴木タカヨシ)







Daytonaアワード
1975 DATSUN 210 SUNNY
Daytonaアワードを贈呈したのは、栗賀さんの210サニー。あまりイジりの対象になることが少ない210型をベースに、エンジンをFJ20型にスワップしたHOT仕様で、各所に及んだ細かい手数がとにかく“アメリカっぽい”事がアワード贈呈の理由。
ドアに貼られた“OPTIMA ULTIMATE STREET CAR”のステッカーは、アメリカでナンバー付きストリートカーで競われているレースシリーズで、このステッカーを貼ってあるだけで、アメリカの草レーサーの雰囲気がムンムン。
その草レーサーの雰囲気をキャッチしてから各所を見ていくと、リアフェンダー上に書かれた“MORRY & SONS DATSUN”はなるほど現地ディーラーなんだと解釈できるが、これが“自分のあだ名と息子”をもじっただけの架空ディーラーであることが判明。
なぜか空冷VWピッチのリアホイールは、VW用のELCO製DRAGホイールが「高くて買えない」から模して作った、スピードスターMk1改と聞いて驚愕。Mk1ホイールのピアスボルトを全てアルミ棒で溶接して埋め、ポリッシュ&PCD変更をした大力作で、「こんなに手間を掛けるなら本物のELCOが買えた」というオチ付きだ。
その他シート生地はコスモスポーツ用の千鳥生地の流用だったりと絶妙にJDMなテイストも混ざっているのだが、トータルでこのアメリカっぽさを出せるのがまさにオーナーのセンス。このREMIX感はベテランならではのスキルの高さの現れだ。

1972 CITROEN SM
今回のSCNで多くの人の度肝を抜いたのがこのシトロエンSM。現在価格高騰中のSMでカスタムカーを作る発想自体が強烈だが、手掛けたのは鬼才ショップ“COOL 4 EVER”と聞いて納得。SMには元々油圧での車高調整機能が付いているが、それをスラムド車高になるまでカスタムし、ホイールはMOONディスク風のルックスの物を鍛造アルミでワンオフ。オーナーがベンガル猫を溺愛中ということで、インテリアやフードの裏までベンガル同様の豹柄仕立て。クルマの周りに人だかりが耐えない大注目の1台だった。


1932 FORD MODEL B ROADSTER
“ストリートカー”として会場まで自走してきたモデルBロードスターだが、展示中の姿はタイヤのトレッド面までツヤツヤ! タイヤが剥き出しのハイボーイスタイルは、いわば“タイヤもエクステリア”なわけで、そこに一切手を抜かないオーナーの姿勢に脱帽。エンジンもウェーバーキャブを4基掛けというHOTさで、展示中はゴミが入らないようにMOONアンテナボールを各ファンネルにセット。オメメの向きもバッチリ統一。

1951 VOLKSWAGEN TYPE-1
Daytonaクルーとして過去に本誌で色々なレポート記事を展開していたケイアニイ。長年の相棒であるタイプ1は、ホイールを新調してエントリー。SHOW & GOをリアルに実践しており、長年クリーンな状態を維持。最近は電動クーラーも導入し、快適なドライブを楽しんでいる。

CHEVROLET C-10
けしてビカビカのコンディションでは無くても、こんなイイ感じにヤレた1st GEN C-10でのんびりイベントに参加できるのもSCNのイイところ。とくにこのクルマは荷台にキャンパーシェルを載せているので、イベント中にゆったりくつろげる場所としても活躍したはず。

MEYERS MANX
空冷VWのシャシーを使ったバギーの中でも、カウルデザインのバランスの良さで人気が高いメイヤーズ・マンクス。カリフォルニア感あふれる1台として近年価格も高騰中だが、こういう粋なクルマこそ日本で乗りこなしたい。「雨が降ったらどうするの?」なんて事は考えずに乗りたいが、こんなに綺麗に仕上げてあったらちょっと躊躇するかも?

DE TOMASO PANTERA
フォードV8を積んだイタリアンスーパーカー、パンテーラ。量産性とコスパを重視して生産されたパンテーラは「果たしてスーパーカーなのか?」とはよく議論される話題だが、こんな北米仕様バンパーを備えている個体を見ると、「パンテーラはアメリカ車」と断言したくなる。安全基準の為に巨大なバンパーを備えた北米仕様車たちはその見た目が「醜い」と揶揄されがちだが、パンテーラの場合はこれが正解と言いたくなる魅力がある。



NISSAN PULSAR EXA CONVERTIBLE
こういうクルマと突然出会えるのがSCNのイイところ。誰しも記憶の底に消えかかっていたエクサだが、こうしてローダウンを施し、そのウェッジシェイプのスタイリングを明確にアピールされると、「カッコイイ」という言葉しか出てこない。コンバーチブルながらシート生地は全くヤケなしのグッドコンディションで、今まであまり屋根を開けず、大切に保管されていたことが伝わってくる。


NISSAN FAIRLADY Z
スタンス/JDM MODS系イベントでアワードを獲りまくっている有名車。本来はVG型エンジンを載せているZ31型だが、エンジンをL型に載せ替えたうえで各部を徹底的にモダン化。ルックスとパフォーマンスを兼ね備えたビレットの6連スロットルは、その象徴的存在だ。エンジンルームを“魅せる”作り込みも意識しており、ラジエターは見えない場所へ移設。しかしこのZ31は置物系ショーカーではなく、じつはタイムアタック車としてメイクされており、室内にガセット留めで入れられたロールケージがそれを証明している。


SUBARU LEONE WAGON
博物館から放出されたのかと思うほどの、極上コンディションの2台のレオーネワゴン。しかもこの2台、どちらも左ハンドルのUS仕様というレアな個体だ。スバルと言えばラリーのイメージだが、ワゴンになるとそのイメージは“レジャー”に変わる。雪道はもちろん海に山に、得意の4WDでアウトドアホビーで活躍するのだが、それが北米仕様となるとそのレジャー感はさらに増大。アメリカを感じたいからスバルに乗る、はアリな選択肢なのだ。



スポコンブーが再来?
スポーツ・コンパクト、いわゆるスポコンがブームになったのは’90年代後半から’00年代初頭。世のあらゆるトレンドはリバイバルするのが常だが、スポコンもJDMカスタムの一環として輪廻のサイクルに入っている。今回のSCNにもチーム単位で令和スポコンがエントリー。歴史は必ず繰り返すので、当時物のホイール、エアロ、ステッカーなどは捨てない方がいいかも?

ISUZU OASIS
今回のSCNで最も注目されていた1台がこちら。いすゞが北米で販売していたホンダ・オデッセイのOEM車オアシスを、“アメリカ人が事故ったまんま”の状態でディスプレイ。カスタムイベントでこれはハッキリいって“禁じ手”だが、バンパーを繋ぎ止める銀色のダクトテープ、無造作に置かれたスタバドリンクなど「これぞアメリカだよな」という妙な説得力もあった。TRADER JOE’SやTARGETではなく、FOOD 4 LESSやDOLLAR TREEの駐車場で出会えるアメリカだ。


美しさは努力の賜物
SCNは屋外イベントなので、展示中に埃が舞って車体が汚れたり、小雨の水滴が付く場合もある。なので展示中、常に美しい輝きを放っているクルマは、オーナーがそれだけ手を掛けているということになる。日野コンテッサのオーナーは、ボディの輝きだけでは飽き足らず、ワイパーアームもピカールでポリッシュ。


MOONEYESは今年で40周年
日本にアメリカン・カスタムの種を蒔き、育ててきたMOONEYESは今年で創業40周年。創業者のShige菅沼氏は今年から社長の座を娘のemiさんに譲り、肩書きを持たない“Non Title”という役職に移行。40周年を機に次世代体制へと舵を切ったMOONEYESが、今後どんな新しいことを仕掛けてくるのか乞うご期待!
イベント名:38th MOONEYES Street Car Nationals®
イベント開催日時 :2026年5月24日(日) 9:00~ 15:00
場所 :お台場青海駐車場(東京)






