
世界が注目するカスタムの聖地!YOKOHAMA HOT ROD CUSTOM SHOW 2025 徹底レポート
日本最大級のインドアカスタムイベント、『YOKOHAMA HOT ROD CUSTOM SHOW 2025(以下、HCS)』が12月7日パシフィコ横浜で開催された。HCSは今年で33回目の開催を迎えた伝統あるカーショーで、ここ数年は海外からの来客、出展も急増。現在は日本、東アジア、オセアニア、アメリカ西海岸のカスタム文化が交差する、環太平洋最大のイベントと呼べるまでに成長している。
HCSの見所は何と言っても、インドアショーならではのハイレベルなクルマ&バイクたちだ。日本最高峰レベルのカスタムマシンだけでなく、海外からのゲストカー&バイクも毎年数多く招聘し展示されている。
HCSは4輪と2輪をミックスしたスタイルのカスタムショーであるのも特徴のひとつで、
じつはこうした内容のカスタムショーは世界的にも珍しい。4輪と2輪は客層が別、というのがいままでの常識だったが、HCSはそこを地続きのカルチャーとしてミックスして見せる方向を提示したのだ。現在アジア各地で行われているカスタムイベントはHCSを参考にしているので、4輪&2輪をミックスするのが当たり前のスタイルとして定着。本場アメリカでもこのHCSスタイルを参考にしたイベントが登場するほど、HCSの影響力は世界レベルとなっている。
ここでは今年も大盛況だったHCSの出展車両の中から、Daytona目線で気になったクルマ(バイクはまたの機会に)を紹介していこう。(text&photo 鈴木タカヨシ)

BEST OF SHOW
1940 MERCURY EIGHT
HCSにおける最高アワード、“BEST OF SHOW”を受賞したのがこれ。1940マーキュリー・エイトをベースに、チョップトップを始めとする壮絶なメタルワークを施してカスタムされた1台。HCSにおけるBEST OF SHOWは単純に“この日の1番”ということではなく、過去にBEST OF SHOWを受賞したクルマのレベルを鑑みて決められるので、“該当無し”で終わる年も珍しくないほど価値あるアワードとなっている。


DAYTONA MAGAZINE’S PICK
1970 CHEVROLET CHEVELLE SS
DaytonaからのアワードはこのシェベルSSに贈呈。リアアクスルをナロードし、太いタイヤをフェンダー内に押し込むドラッグマシンのメカニズムをストリートマシンに落とし込んだ“プロストリート”スタイルで作られた1台。しかも搭載エンジンは排気量540キュービックインチ(約8.8リッター!)のビッグブロックで、そこにスーパーチャージャーを加えた結果最高出力1104馬力を発生するというモンスター。この過剰なスペックを正しく機能させる為に各部に施されたディテーリングはある意味レースカー的なのだが、その機能性を追求したが故に施されたシンプルでクリーンなファブリケーションが、ストリートカーとしての格上のカッコ良さに繋がっている。



GUEST CAR
1932 FORD ROADSTER
HCS2025のゲストカーは、GALPIN SPEED SHOPの代表、DAVE SHUTEN氏がオーナーの1932フォード・ロードスター。最も目を引くパートであるHEMIエンジンは、なんとMOONEYES USAで放置されていたもの。ヴィンテージパーツコレクターでもあるDAVE氏が、MOON代表シゲ菅沼氏よりこのエンジンを譲り受けたことからこのロードスターのプロジェクトがスタートした。製作コンセプトは“MID’60sスタイルのガレージビルドのドラッグマシン”。当時の若者が父親が所有していたロードスターを見つけ、ドラッグレースを楽しむ為にこんな改造をしたのでは? というバックグラウンドがあり、使用パーツは極力当時物をチョイス。ペイントやインテリアのテイストも’60Sスタイルを強く意識している。


40 YEARS OF HOT RODDING IN JAPAN
1932 FORD MODEL-B WOODY WAGON
HCSには毎回特定のテーマをフィーチャーした“スポットライト”と呼ばれる企画があるが、今年選ばれたテーマが“40 YEARS OF HOT RODDING IN JAPAN”だ。これは日本におけるホットロッドショップのパイオニア、“DEUCE FACTORY”が開業して40周年ということで、同店のオーナーである笠井俊一氏の功績を讃えるために企画されたもの。メインビジュアルに描かれ、会場の目立つ場所に鎮座していたモデルBウッディは、1982年にBOYD CODDINGTONが製作したハイテック・ホットロッド黎明期を象徴する1台。1992年に売りに出たタイミングで笠井氏が購入。以降DEUCE FACTORYの看板車となり、現在もグッドコンディションを保っている。横に置かれている『アメリカン・グラフィティ』仕様のデュースクーペも、DEUCE FACTORYと言えばコレ、という1台だ。




VOLKSWAGEN TYPE-1
派手なクルマが多いHCS会場では思わず通り過ぎそうになってしまう佇まいだが、よく見るとタダ者ではないオーラを発していたタイプ1。車高だけ落としてあとはノーマル然とした雰囲気だが、実は足元がハードコア。前後ともWELDホイール&HOOSIERタイヤ装着でDRAGマシンであることを静かにアピール。インテリアも同様にノーマル仕立てで纏めつつ、シフターのみGENE BERGというチョイスがニクイ。


1991 MAZDA B2600i CAB PLUS
HCSというビッグイベントに対する出展者の大きなリスペクトを感じる、手間暇の掛かったディスプレイ。フルカスタムされたマツダBトラックは、なんと電動の回転台とミラー敷きのフロアで全身をアピール。シャシー&フレームどころかブレーキディスクまで磨きの入ったその美しさは圧巻。

1968 WINNEBAGO C16
’60sのWINNEBAGOキャンパーで同型キャンピングトレイラーを牽引するという、ミニカー遊びの様なノリを現実でやってしまった贅沢な組み合わせ。子供向けの楽しげなグラフィックも追加されているが、足元はホワイトウォールタイヤにクレーガーのワイヤースポークホイールと通好みのチョイス。

1976 VOLKSWAGEN TYPE-1
写真と車名が合ってない? と思ったのならそれは正解。なんとコレ、VWタイプ1のシャシーにダットサン620のボディを載せた大技カスタム。VWタイプ1といえば、その板状のシャシーに走る為の全ての機構がセットされているため、上屋となるボディは自由にカスタムできる事で有名だが、そこに620のカスタムボディを載せたのは斬新過ぎるチョイス。
KUSTOMテイスト溢れるグリル造形も◎。




1964 VOLKSWAGEN KARMANN GHIA T-34
VWカルマンギアの派生モデル、T-34(通称「タイプ3カルマンギア」)をモダンにカスタム。
灯火類はLED化され、内装もレザーでリメイク。大径ホイールを着地スタンスで飲み込むが、全体的なテイストは大人路線だ。ゴールドリーフ仕立てのピンストライピングも良いアクセント。



1970 DATSUN BLUEBIRD
フードの下に収まるエンジンはなんとGRヤリスから移植された3気筒ターボユニットのG16E-GTS。チューニングによりそのスペックは330PS/51kgmまで高められており、鬼トルクを得たこの510は1トン未満の車体を恐ろしい勢いで加速させていくとのこと。足回りは海外製パーツを使って5穴化しつつ、リアに至ってはマルチリンクへとアップグレード。この低い車高でもハの字にならず、適正アライメントを保っているのも密かなポイント。
■イベント情報
開催日: 2025年12月7日(日)
開催時間: 8:00 ~ 17:00
会場: パシフィコ横浜 国際展示ホール





